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障害受容②

 

 

障害受容過程とは

さて、今回のCさんの心の変化を「障害受容過程」で考えてみよう。障害受容過程とは、「ショック期」「否認期」「混乱期」を経て「受容期」に至る心理過程を指す言葉である。

障害受容過程

 

注意

上記は障害受容過程を「4段階」で示しているが、通常は「ショック期→否認期→混乱期→解決への努力期→受容期」の5段階とする事が多い。コーン(1961)の5段階、フィンク(1967)の4段階 、キューブラ・ロス(1969)の5段階、上田の5段階などがある。

 

①ショック期

病気や怪我をして間もない時期。大変非現実的に物事を捉える時期である。周りの人が「怪我を負って可哀そうに」と思うのだが、本人はあっけらかんとして、至って平気である。人は、物凄い状態に直面すると耐えられないので、現実に起きていることを自分の事として感じないようにしているともいえる。

ショック期

 

②否認期

自分の病気や怪我が治らないっぽい…という事実を打ち消す心理状態の時期である。自分では耐え切れない事態を直視することが出来ず、かといってショック期のように現実から逃げているわけにもいかないので、「そんな事があるはずがない」と心理的に打ち消すのである。

否認期

 

③混乱期

自分の障害を否認したいが、現実に抗しきれない。現状を理解し混乱を来たす時期。自分の置かれた状況を理解し、どうやら治らないかも知れないことを否定できなくなる。大変不安定な時期で、感情的・攻撃的・自虐的になったりする。

混乱期

 

④受容期

様々な葛藤の中で今の状況を少しずつ理解し、現状の自分を受け入れ受容する時期。自分の価値は障害によって変わるのものではなく、障害と共に生きる事を受け入れる時期である。

受容期

 

さて、ホタル観賞をきっかけに「受容期」へ至ったと思われたCさん。問題が解けなかった事を馬鹿にされ、また不安定な気持ちに戻ってしまった。果たしてCさんの心に何が起こっているのだろうか。

 

揺れ動く心

「障害受容」に関して、理学療法士の三好春樹氏は次のように述べている。

障害受容のこれまでの考え方は段階説。「1ショック期」「2否認期」「3混乱期」を経て「4受容期」に至るとされる。しかし私はこれに少し批判的だ。1,2,3を経て4受容期に達しましたという単純な一方的過程ではなく、受容期まで来たなと思われる人が何かのきっかけですぐ否認期になったり混乱期になったりする。つまり全部の心理状態、4つの段階がいつも心の中にある、可逆的であるというふうにみるべきではないかと思う。
(参考;『教師はなぜぼけるのか』筒井書房)

三好春樹のイラスト

 

4つの段階を行ったり来たり…

障害受容過程は、どうやら「段階説」ではなく「並列説」と考えるのが良さそうだ。4つの段階がいつも心の中にあって、行ったり来たりを繰り返しているのだ。

揺れ動くCさんの心。また家に閉じこもってしまった。今度は「否認期」に入ったのだろうか...。

 

さて、在宅サービスを提供する我々には、Cさんに対して一体何が出来るのだろう。三好氏は言う。

三好春樹
障害受容って、結局のところ何かというと、諦めでしょう。諦めであり、開き直りであり、そういうことじゃないかという気がするんですね。

 

あまり深く考えすぎない方が、逆に上手くいくのかも知れない。「揺れ動く心にそっと寄り添う」…そんな付き合い方をしようと心に決めた理学療法士Hであった。

 

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